6月4日:時間内に終えず 

6月4日(水):時間内に終えず 

 

 今日一日を振り返っておこう。今日、僕は何を体験したか、どういうものを得たか、記録に残したい。 

 

 昨晩から今朝にかけて夜勤だった。 

 僕の前の時間帯の人から仕事の引継ぎがあった。2,3の仕事を引き受けた。それはいいとして、そのうちの一つはわずか数分で片付くものであった。それくらいやって帰ったらいいのにとも思った。 

 僕の世代は「時間が来たから帰る」というのはあまり通用しなかった。時間内に終わらせることができなかったら、それは僕の責任であって、作業は時間内に終わらせるようにしなければならないと教えられたものだった。今の若い人にはそういう体験がないだろうし、そもそもの考え方が違うのだな。それはそれで分かるのだけれど、やり終えずに引き継いで平気なんだろうか。僕だったら作業を中途で投げ出したようで後ろめたいと感じるだろうし、終わってからも気分が優れなくなるだろうと思う。サービス残業をしてでもやり終えたいと思う。 

 昨晩の勤務は半ドンで、シフトの前半だけの勤務だった。終了は2時だったけれど、結局、3時ころまで仕事をする。1時間のサービス残業だが、そこは小休止を挟みながらやる。疲れるのだ。いずれにしても、時間内に終えることができず、それでも作業は終わらせて帰りたいという自分本位の動機でやってる。 

 家に帰って1時間ほど寝る。それから準備をして家を出る。まずは別店舗に行って、Oさんの手伝いをしよう。これこそ無給の仕事なんだけれど、僕が勝手にやってることだからいいのだ。何か言われても店にとっては助かっているのだから何も言えないだろう。 

 店内に入るとOさんが働いている。今日は機嫌はいかがだろうかなどと様子を見る。彼女がピリピリ、カリカリしてなければいいや。 

 まずは自分の用事、作業を終わらせる。毎週この日にやってる作業がある。僕が個人的にやってる作業でもあるんだけれど、他の人がやらない(できない)から僕がやっておく。それに前回この店舗で働いた時にやり忘れたこともあったので、それも片づけておく。 

 あとはOさんの手伝いだ。Oさんがパニックになったり、ヒスを起こしたりしないように願う。それらが見られなかったら僕の勝ち、それが起きたら僕の負けというルールだ。ちなみに、今日は僕の勝ちだった。 

 当初、今日の別れ際に「Oさん、さようなら」と言う予定だった。でも、結局、「Oさん、またね」と言って別れた。Oさんへの気持ちが薄れていく(これは良くないことだ)のが感じられるのだけれど、Oさんを見放す気にもなれない。 

 朝からそんなことをやって、僕の今日一日が始まった。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

 

 

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