3月19日:闇バイト広告

3月19日(水):闇バイト広告 

 

 夜勤明けで、そのまま高槻に出る。特別な用事とかもないのだけれど、今晩はフリーなので、そういう日はできるだけ職場で過ごすようにする。することが山ほど残っているからである。 

 最初に論文を読む。今日は5つほど読んだが、寝不足でフラフラしながら、意地でも読み切った。なんとしてでも今の状況を変えてやると意気込んでいる。僕の中でメラメラと闘志が燃えたぎっているかのよう。 

 途中、少しだけ横になったものの、大した仮眠もできず、夕方まで職場で雑用をする。これまでしたためたノートやメモの類も整理し(全部はできていないけれど)、HP原稿の草稿をしたため、HPの作成計画を練る。 

 このHPをもっと活かさなくてはならない。まだまだページが足りない。肝心な部分のページが足りない。加えて、このHPの初期の頃に生じた不具合の修正もできていないところがある。抜け落ちている作業もある。それらを見つけ次第、作業リストに挙げていく。 

 

 夕方、高槻を後にして帰宅する。眠くてしょうがないのだが、まだ寝るわけにはいかない。帰宅するやパソコンをセッティングする。 

 HPの<#008>ページ、つまり親カウンセリングのページの改定を試みる。11ページある。これを読み直し、文章の修正や補足・添削を行い、欠落している作業を補足して、再更新する。5ページはやろうと決めていたが、11ページ全部こなした。ついでに12ページ目も公開した。未公開のものがまだいくつもある。それらも順次、校正して、公開していこうと思う。 

 その他のページもひどいものだが、どこから手を付けていいやら暗中模索状態である。とにかく1ページずつ終わらせていくしかない。 

 

 今、時刻は4時。日付が変わって20日になっている。夜、2時間くらいは寝た。それ以外はもっぱらパソコン作業をしている。さっきも書いたが、なんとしてでも今の状況から抜け出してみせる。 

 

 ところで、昨夜一緒に勤務した人から僕が面白い趣味を持っていると言われた。趣味が変わってるということだ。 

 実際、闇バイトの広告を見るのが好きだ。インターネットなんかを開いていると広告が入ってくる。闇バイトっぽいのがあれば、一旦見てみる。 

 こういうのには、まず、「お金に困ってませんか」的な文言から来るものがある。経済的な悩みにアピールするものである。なんとなく怪しいので、怪しいものには入っていくことにすると、案の定、闇バイトっぽい。 

 次に「月収100万円以上」などと謳ったものがある。金銭欲にアピールするものだ。年収1億も夢じゃない的なことを打ち出してくる。怪しい。さっそく見てみなくちゃ。案の定、闇バイトっぽい。 

 最後に「簡単お仕事で高収入」とか「1日10分で収入倍増」的な文言で届くものがある。コスパやタイパにアピールするものだ。やはり怪しい。怪しいものはとりあえず見てみる。案の定、闇バイトっぽい。 

 これらが闇バイトっぽいのは他にも証拠がある。まず、そこに応募したとして、自分がどの会社に雇用されたのが不明であることだ。会社名とか、そういう記載が一切ないのである。 

 次に仕事内容が非常に漠然としているか、拡散的で散漫的である。例えば、レジ、接客、陳列、品出しなどと並べてあれば、これが販売店で、店内スタッフの募集だなということが分かる。仕分け、梱包、検品などとあれば、工場の製品を扱う仕事なのだということが推測できる。闇バイトの広告にはそういうのがないのだ。言ってみれば、ああいうこととか、こういうこととかやりますといった言い方であり、しかも、それぞれの仕事が相互にどうつながっているのか、全体図が見えないという感じである。 

 闇バイト広告を見るのは面白い。面白がってそういうのを見るから、またそういう広告が入ってくる。入ってくると見ないと気が済まない感じがするので見てしまう。見ると、AIが勝手に判断してその種の広告を送り込んでくる。どうやらエンドレスの趣味にはまり込んでしまったか。 

 

 テレビのコメンテーターたちは、闇バイトに応募してしまう若者に対して、「そんな甘い仕事はないんだから」などと評したりする。現実的に考えて、楽な仕事をして大金を稼げるはずがないのだから、その評は正しい。 

 しかし、若者には伝わらない。一つには彼らの困窮状態がある。いろんな理由から貧困状態に、経済的にひっ迫している状態がある。この状態では、つまり本人が心的負担を過大に抱えている状態では、そういう甘言にだまされやすいだろうと思う。思考も論理性を失っているかもしれない。彼らに応募するなと訴える前に、彼らの状況を変える手助けをしなければならないのではないかとも思う。 

 一旦闇バイトに応募してしまうと、若者たちはそれに縛られるという状況もある。個人情報を獲得した主犯格の連中は若者に脅しをかけて拘束する。若者たちは恐怖心からそれに従ってしまう。その状態で警察に通報するのは難しいことだろう。勇気を出して警察へ連絡して、などと訴えるコメンテーターもあるが、まったく当人の置かれている状況を理解していないし、共感もしていないという気がしないでもない。若者たちは強盗の実行犯であるだけでなく、恐喝の被害者でもあるのだ。その辺りの立場も考慮しなければならないのではないか。 

 これらの背景には日本経済の問題がある。30年間経済的成長がなく、賃金も増えなかった先進国は日本だけである。貧富の格差も問題であるが、若者の多くは貧困である。僕もまた貧困層の人間である。その僕から見て彼らは貧困だなと感じるほどである。この貧困から抜け出すには三世代かかるという試算もある。親が貧困だと、孫の世代でようやくその貧困から抜け出せるというわけだ。ひどい国になったものだと思う。一代で富を築き上げたといった昭和の企業英雄なんて、令和の時代には生まれないことだろう。もし、一代で貧困から抜け出したいと願っているとすれば、闇バイト広告は魅力的に映ることだろうと思う。それだけの稼ぎがあれば自分の代で貧困から抜け出せるし、そうなると自分の夢の実現も夢ではなくなってきて、希望が生まれるのかもしれない。 

 貧困がある限り、闇バイトに応募してしまう人はなくならないだろうと思う。主犯格の連中にカモにされ、弾除けにされてしまう若者たちは後を絶たないんじゃないかと思う。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

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