1月1日:新年早々に 

1月1日(木):新年早々に 

 

 謹賀新年 

 

 待ちに待った2026年。と言っても、今年なにかあるというわけでもなく、2025年が良くない年だったので、早く年が変わってくれないかと思っていただけのことである。新しい年を迎えて、心機一転といきたいところだが、新年早々、面倒があった。 

 

 昨夜は深夜勤務だった。大晦日から元旦の朝までだ。あまり入りたくない日である。浮かれ騒いでいる連中も多い。それが悪いというわけではないんだけれど、そういうのがトラブルを起したりするから厄介なのだ。 

 昨年と比較すると、今年はまあまあ大人しい方だった。前回は割と賑やかだったが、今回はそれほど浮かれている人たちを見なかった。景気のせいだろうか。それとも人々の心的変化のせいだろうか。 

 とは言え、浮かれてるのが皆無だったわけではない。年が明けて、2時前後だったかな、若者の集団が集まっていた。あまり大声で騒ぐとかあったら注意するつもりでいたが、今日は少々のことは大目に見てやろうと思った。少しくらい寛大なところも見せておかないといけないのだ。 

 その集団もやがて散り散りになったようだ。最後に3,4人が残った。この人たちにはちょっと注意した。駐車場でじゃれておったからだ。やかましいのと事故でも起きたら困るからである。 

 順を追って述べよう。彼らは各々が買い物をしている。一人がウイスキーの小瓶を買った。それはいい。しばらくするとそいつがもう一本買いに来た。そこまでも許せることにしよう。三度目にそいつが来た時はフルボトルのウイスキーを買って行った。小瓶はその辺で飲んだようだが、ボトルは家で帰って飲むのだろうと僕は思った。 

 その後、表が騒々しくなった。ゴミも散らかしている。僕は彼らに注意した。彼らは謝る。ゴミ捨ても彼らが自らやろうとする。ウイスキーの小瓶2本とボトル1本が空になってる。「よう飲んだなあ」と僕は呆れながら言う。 

 その後が大変だ。ウイスキーを買って行ったやつがへべれけになっている。その辺で嘔吐したようだ。僕は無視だ。 

 駐車場に彼らがいるのは分かっていた。最終的に泥酔したのとその友達2人が残っていた。2人は泥酔者を介抱していた。何度か店のトイレを使った。二人が泥酔者を連れてトイレに入るのだ。泥酔者は一人ではまともに歩けない状態だった。 

 ある時、一人が「拭くものないですか」と尋ねてくる。どうしたのかというと、泥酔者が血を吐いたというのだ。吐くものが何もなくなったからだろう。ともかく、僕はペーパータオルを彼らに渡す。彼らは後始末をしたようだ。 

 その間にも普通にお客さんが来る。あるお客さんがトイレにケータイが落ちてたよと言って持ってきてくれた。あの連中のだ。表に出て、彼らに渡す。きっとケータイも壊れただろう。戯れに深酒したことの代償だ。 

 最後に二人が謝りに来た。ご迷惑をおかけしましたとのことだ。もう帰るそうである。まあ、酔っぱらってるのもおるから気をつけて帰りやなどと僕も応じる。 

 後は通常の勤務に戻る。早朝勤務者が来て、トイレに誰かいると言う。女子トイレの方だ。これは女子トイレだが身障者用のトイレでもある。僕が行ってみると、鍵がかかっており、中から鼾というか寝息が聞こえる。僕はすぐにあの泥酔者だと直観した。 

 トイレのドアを叩き、声をかける。応じない。何度か試みたけれど、一向に目覚める気配がない。外側から鍵を開けようと試みたものの、適当な道具がなくて難儀する。結局、警察に通報ということになった。僕は勤務時間が終了したので、一旦退勤する。 

 その後、僕は警察待ちだ。本当なら今日は朝6時に仕事を終えて職場に行くはずだった。この調子ではいつ解放されるか分からない。何よりもあの3人組だ。泥酔者が最後にトイレに入ったのを僕は知らない。あの二人も泥酔者を連れて帰ったものだとばかり思っていた。しかし、真相はあの二人は泥酔者を店に置いて帰ったのだ。誰かがどうにかしてくれるという魂胆だったのだと思うと、無性に腹が立ってくる。 

 やがて警察が来る。警官もドアを叩いて声をかける。そういうことしかできないと言う。このままでは鍵を壊さないといけないという話にまで発展した。中から寝息が聞こえなくなっている。救急を呼んだ方がいいかもしれないという話も出た。僕はなんとか鍵を壊さずに開けられないかと頼む。 

 一人の年季の入った警官がパフレットの束で巧みに鍵を開けた。ああ、そういうのが道具になったのかと僕は感心した。 

 ドアを開けると、案の定、あの泥酔者だ。しかも、僕たちがドアを開けた時、彼は普通に起きていた。起きていたのなら出てこいよ、と怒鳴りつけたくなった。 

 後は警察に任せる。僕が通報したわけではないけれど、通報者として僕の氏名と住所を伝える。泥酔者の方は僕に謝ったが、僕の方はもうどうでもよかった。それにしても、いい友達を持ったものだな、酔っぱらった君を放置して、何事もなかったかのように帰るんだからな、などと言ってやりたくもなったが、止めた。本当にどうでもよかった。 

 結果的に朝の7時を回った。今から職場に行くとあまり作業はできなさそうだ。今日は予定変更にする。新年早々から予定変更だ。バカな泥酔者たちのせいでなんでこんな目に遭うのか、非常に憤慨していた。 

 まあ、人間一度くらいは酒で失敗した方がいい。それも若いうちにそういう失敗をしておいた方がいい。酒に酔うということは自分が無敵ではないことを痛感する経験である。酔って潰れるなんて、自分がいかに非力であるかを思い知らされる。あの泥酔者も二人の友達も少しは思い知ったが良い。 

 

 さて、職場には行かないと決めたものの、その後、どうするか。とりあえず帰宅だ。 

 帰宅途中のいつものセブンに立ち寄る。まあ、新年の挨拶くらいはしておこう。店長さんの他に愛想のいいお姉さんもおったので好都合だ。お姉さんと言ったけど、それは僕から見てという意味だ。僕より年上という意味だ。普通に言うとおばさんのカテゴリーに入る人だ。 

 セブンの駐車場も散らかっている。若者がたむろしたらしい。どことも一緒だな。 

 あれだけ泥酔者に手を焼いたくせに、僕はさっそく缶チューハイを手にしていた。缶チューハイはセブンのが一番美味しい。普通のレモンもいいが、ストロングなレモン・ライムが僕は好きだ。ローソンの缶チューハイはさほどでもないが、値段が安いことだけが取柄だ。ファミマのはちょっと合わない。かつて僕が飲み比べた結論だ。 

 あとはそこのセブンで楽しいひと時を過ごして、それから帰宅の運びとなったわけだ。それにしても、新年早々出鼻をくじかれた形になってしまった。なんだか2026年も幸先がよろしくない気がしてきた。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

 

 

 

 

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