7月6日:自分に嫌気がさしながら 

7月6日(日):自分に嫌気がさしながら 

 

 昨晩の深夜勤務はかなり堪えた。4時間だけのシフトだ。前半だけの半ドンだ。いつもの半分なので気分的には余裕があるはずなのに、そうもいかない。忙しい時間帯であることと、足が痛いのとでたいへんだった。 

 足の痛みというのは、悪い方の左足の踵である。なんだろう、このアキレス腱が引っ張られるような痛みは。この痛みは僕が中学生ころから経験しているもので、僕の中ではけっこうお馴染みの痛みである。しばらくすれば治まるだろう。 

 勤務は足を引きずりながら作業をこなす。かなり体力を消耗する。後半に僕と交代で入るおばさんが風邪気味だから代わってくれないかと言ってきた。僕はお断りだ。それに、そういう話は上に通さないといけない。 

 僕が思うに、あのおばさんは一緒に入る人が嫌なんだろう。Uと呼んでおこう。後半はこのおばさんとUのコンビだ。Uはまあまあの嫌われ者で、正直言って、僕も不愉快に思う人である。Uは前々から何かと評判は良くなかったのである。最近のUはますますひどくなってきた。ともかくこちらの手を煩わされるのである。Uと一緒のシフトの時は、二人でこなす作業を一人でする覚悟を決めないといけない。それどころかUの不始末の後始末まで負わなければならなくなる。ともかく、Uを当てにすると裏切られる。 

 オーナーはUをクビにしたいらいしい。人が入ってきたらクビにするとかいうことらしい。このオーナーはよく選択を間違えるのである。先にUのクビを切らないと、今いる人たちが辞めてしまいかねない。はっきり言って、僕もUがイヤなので辞めようかとさえ思っている。 

 それで、おばさんとUが揃ったら、僕はそそくさと勤務を終える。若干の事務的な仕事が残っていたので、30分ほどサービス残業することになったが、店内作業を終えていたのでUたちと関わらなくて済んだ。 

 

 深夜の帰宅となったのだが、足が痛くて普通に歩けず、時間もかかる。途中、別のコンビニに入る。少し休憩をいれないとしんどい。休憩しながら、いつまでこんなことをしないといけないのかと、つくづく自己嫌悪に陥る。この状態からなんとか抜け出そうとしているのに、上手く行かない。Uみたいなのが、身体的に負荷をかけてくる。 

 そして、つくづく心の健康ほど大事なことはないという結論に至る。病んだ人間が一人いるだけで、周囲はたいへんな迷惑を蒙るものである。Uを見ているとそれを実感する。健康であること、共人間的な関係を築き、それでいて自己を喪失しないこと。行動だけでなく感情面でも場に適応すること、奉仕し、協力しあい、助け合える人間であること。 

 休憩しながらそんなことを考える。 

 

 帰宅したのは、休憩を挟んだせいもあって、けっこう遅かった。ともかく寝る。 

 朝、起きた時、踵の痛みはさらに増していた。今日は高槻に行きたかったが中止にする。真っ先にロキソニンを服用して、様子を見る。ロキソニンが効くなら望みはある。 

 

 今日、面接が飛んだことは、ある意味では、助かった。先日、キャンセルの電話が留守電に吹き込まれていた。 

 こういうのは不思議なタイミングというものがある。もし、この人が今日面接を受けたとしたら、僕は次を勧めないでおこうと決めていた。このまま継続しても、この人に動きが見られる気配はなさそうであり、正直に言って、見込みがない。意味なく継続してもらうより、打ち切った方が倫理的である。 

 なぜ見込みがないか、動きが見られそうにないか、あまり他人のことを詳しく書くわけにもいかないので大雑把に述べると、この人はガチガチに自己防衛するからである。それは僕に対してだけであるかもしれないけれど、人に対して自己開示せず、人と関係を築いているようでいて心を閉ざし、本質的には自閉的である。この人の年齢的なものも関係するかもしれないけれど、自己収縮的である。そのことは発話にも現れていて、話が発展したり広がったりしないのである。ある一つの事柄だけを執拗に繰り返す。分裂病的な傾向が強い人だと僕は見立てている。だからカウンセリングに適応できず、カウンセリングがあまり功を奏さないタイプの人である。 

 もし、今日、この人と面接したら、あることについて、とことんまで追求してみようと考えていた。この人は言葉を濁したり、はぐらかしたりするかもしれないが、それに屈せずに追求してみようと計画していた。おそらく、この人にとっても苦しい場面となったことだろうと思う。キャンセルしたのでこの人は救われた感じになったが、もしかしたら貴重な機会が失われたかもしれない。 

 まあ、いい。来なくなった人のことを考えても無意味である。今後のために振り返っておくのもいいかもしれないが、今来られている人、これから来られる人のことにもっとエネルギーを注いだ方がいい。 

 

 さて、足が痛いので今日は終日家にて過ごす。動こうにも差し障りがあるので、あまり動けず。ほとんど寝たきり状態だった。寝ながら本を読んだり、うつ伏せになって書いたりして過ごす。 

 今日はバイトがない。本業のことを前に進めようと計画していたが、寝たきり状態では多くのことができず終いとなった。僕の体は常に僕を裏切るかのようだ。自分の身体にも嫌気がさしている。身体に嫌気がさしているとは、結局のところ、僕自身に嫌気がさしているということだ。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

 

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